逢いたい夜は、涙星に君を想うから。


「なに……すんの……?」



怒りが込み上げてきて声が震えた。



アンタに何の権利があんの?



どうしていつも……そうやって



あたしの大切なものを奪うの?



悔しくて、苛立って、目に涙が溢れてくる。



あたしはゴミ箱からすぐにノートを拾い、部屋を出て行こうとした彼女の背中につかみかかった。



「なにすんのよっ」



「ふざけんな、クソババァ!」



「誰に向かって言って……!」



彼女はあたしの髪と腕を掴んで、あたしの体を突き放す。



その瞬間、頭がガクンと揺れた。



めまいでグルグルと部屋の景色が回って見える。



あたしは体がよろけてそのまま、デスクの角に左目の上を思い切りぶつけてしまった。



「……つーっ」



あたしはその場にしゃがみ込み、左目を両手で押さえる。



「なにしてんのよ、大丈夫!?」



彼女は少し慌てた声で、あたしの肩に手を置き、下からあたしの顔を覗き込む。



あたしは肩に置かれた彼女の手を、思い切り振り払った。



「触んないで……」



「いま冷やすもの持ってくるわ」



「いらないから、早く部屋から出て行って!」



あたしが大きな声を出すと、彼女は冷めた口調で言った。



「いつまでそんな態度続けるつもり?自分ひとりで生きてるとでも思ってるの?」



あたしは左目を手で押さえたまま顔を上げ、彼女の憎たらしい顔を見つめた。



「自分が気に入らないと、すぐに反抗的な態度になる。それがガキだって言ってんのよ」



「アンタなんかに言われたくない。あたしの母親でも何でもないのに、偉そうに言わないで!」



「いまのあなたのままじゃ社会に出て生きていけないわよ。もし就職したって、どーせ長続きしないでしょうね」



「うるさいっ」
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