逢いたい夜は、涙星に君を想うから。



そのとき、駅の改札口のほうから、男の人の声が聞こえた。



「どこから来たのかな?」



しゃがみ込んで誰かと話している駅員さんの大きな背中が見える。



「お名前は?」



もしかして……。



あたしが急いで駆け寄っていくと、駅員さんの背中の向こう側にいたのは……



「……のえるっ」



「あー!りんちゃんっ!」



のえるはニコッと笑ってあたしの膝に抱きついた。



「すみません、急にいなくなっちゃって探してたんです」



そう言ってあたしは、駅員さんに何度もお辞儀をした。



「お姉ちゃんが迎えに来てくれてよかったね」



駅員さんがのえるの頭を撫でて優しく笑うと、のえるは不思議そうな顔をして答えた。



「おねーちゃんじゃなくて、りんちゃんだよっ?」



「と、とにかくありがとうございました。連れて帰りますんで」



あたしがのえるの手を引っ張っていくと、のえるは歩きながら振り返って、駅員さんに向かって笑顔で手を振る。



「バイバーイ」



駅員さんも笑顔で手を振り返してくれていた。
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