逢いたい夜は、涙星に君を想うから。



あたしが死のうとしたとき……



崖であたしの手を掴んだまま、彼は命がけで言ってくれた。



“死ぬ時は一緒だかんな”



生きる意味を見失っていたあたしに。



“でも、いまは……ふたりで一緒に生きるんだよ”



あたしはひとりじゃない。



そう言ってくれた彼の言葉が、



あれからずっと、心の中で



忘れられなかった。



大切な人を失うことが怖くて、大切な人を自分から遠ざけていた。



大切なものを作らなければ、何も失わずに済む。



大切な人を失うくらいなら、あたしはひとりでかまわない。



ずっとそう思ってきた。



この世界に



永遠なものなんてない



そう思ってた。



それでもあたしはあの日、



“死ぬ時は一緒だかんな”



彼の言葉の中に



永遠を感じたの――。
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