逢いたい夜は、涙星に君を想うから。
☆凜side☆
星空の下、静かな波音だけが聞こえる砂浜。
橘くんに抱きしめられたまま、あたしは涙を流し、
彼の腕の中でそっと目を閉じる。
“おかえり”
彼のその言葉を聞いた瞬間、胸がいっぱいになった。
あれからずっと、彼があたしの帰りを待っていてくれたこと。
ここに来るまで、不安と迷いでいっぱいだった。
1ヶ月前のあの日、理由があったとはいえ、あんなふうにここからいなくなって。
あのときのあたしは、もうここには戻れないと思ってた。
だけど……橘くんの言葉が。
心の中からずっと、消えなくて。
忘れられなくて。