TENDRE POISON ~優しい毒~
「…ごめん……なさい」
エマさんが僕の足元に来て腰を落とした。
「あなたがあの子のことを好きじゃなくても、あの子はあなたのこと好きそうに見えたから」
僕は手を退けてエマさんを見下ろした。
「鬼頭が?まさか」
ちょっと自嘲じみた笑いが洩れる。
「僕のことを嫌ってるよ」
少なくとも今日の出来事で嫌われたも同然だ。
「それに謝るほうは僕のほうだ」
エマさんは小首をかしげた。
「ごめん。
ホントにごめん。
好きになれなくて……ごめん」