TENDRE POISON ~優しい毒~
エマさんの黒い瞳にどんどん涙が溜まっていく。
「僕は酷い男だ。君にふさわしくないよ」
「…そんな……こと言って、あたしが納得すると思う?」
エマさんは気丈にも僕を睨み上げてきた。
「ごめんだなんて、いっぱしに振ったみたいな言い方しないでよ!」
「じゃあどうすればいい?僕が殴られでもすれば君の気が済む?」
僕はエマさんの目をじっと見つめた。
逸らしてはいけない。
それが唯一僕にできることだ。
「そんなんで気が済むわけないじゃない!でもそうね、殴っておいてもいいかも」
エマさんの目から大粒の涙が流れた。
「いいよ。君の好きにして」
僕は目を閉じた。