TENDRE POISON ~優しい毒~


結局レポート作りは、明日からお願いすることになって僕と鬼頭は別れた。


まだ鬼頭の体調が万全ではなさそうだったからだ。



―――――

――



その日一日は僕のケータイに電話がかかってくることはなかった。


何度もケータイを見ては、複雑な心境を抱く。



らしくないな。


それこそ、高校生みたいだ。



でもかかってこないところを見ると特に一大事があったわけではなさそうで、ほっとした。



鬼頭……



一人暮らしだって言ってた。



ちゃんと食べてるのかな?料理はするのかな?



一人じゃ寂しいよ……





いつか、いつか……二人で笑いあって食事ができたらな……







なんて考えて、僕ははっとなった。


何を考えてるんだ!?


相手は教え子だぞ!


一生徒に個人的な感情移入をするなんて、僕は教師失格だ。


そもそも、そう言う関係に誰よりも線引きをしていたのは自分自身じゃないか。





教師失格。




もう一度心の中で復唱し、僕はビールの缶に慌てて口をつけた。






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