獅子が招いてくれた恋
「ちょっと!アレとアレ、買ってきて」
家に帰るなりパシられることは少なくない。
しかもアレって何だよ。
玄関を出て車に乗り込もうとすると、ちょっと向うに、原付に乗ってないJKが突っ立っていた。
「まこちゃん」、なんて言って少し手を振ってから近付いてきた。
はるかだ。
数週間ぶりに見るはるかは、祭りの時よりも髪が短くなっていた。
「これ、この前タッパーできゅうりのコーコウ(漬物)貰ったからお返しに」
シャカシャカっと、手に持ってた袋を開いてタッパーを取り出した。
「うち、今日は揚げ物なんだ」
タッパーの底には油取り用のキッチンペーパーが敷いてあって、熱々のためかフタが半開きだった。
中には芋だの肉だの、スーパーの惣菜コーナーで働いているというおばちゃんの腕はなかなかだ。
「ピーマンの肉詰め美味しかったから後で食べてね!」
そう言いながら俺っちの玄関をガラガラッと開けた。
母さんが出てきて、中へ連れ込まれた。
俺はアレとアレを求めて、近くのスーパーへ向かった。