僕の死に方
 藤見正信が、胸倉を掴んでいたリーダー格の手を勢いよく払い、後ずさる。
 彼を苛めていた人間の誰もが、その行動を予想していなかったらしく、信じられないというような表情をしている。
 だけどそれは、端的に見れば些細な抵抗。
 意外であったとはいえ、小さな抵抗は火に油を注ぐ。
 いつもより、さらに過酷な仕打ちが藤見正信を待っているはずだった。

 だけど、藤見正信以外の人間は、身動き一つ出来なかった。

 藤見正信の手には、ナイフが握られていたのだ。
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