クリスティアナ
クリスの様子にガラムはクリスの横に来た。



うつむき激しくかぶりを振っている。



ガラムがルーファスを見た。



「これ以上は苦痛を与えるだけでしょう」



ガラムが言うと、ルーファスは首を横に振る。



「だめだ この話は避けて通れない」



ルーファスが言うとガラムは元の席に戻る。



「話はしたくない」



こめかみを押さえながらクリスは立ち上がった。



「座れ、陛下の前だ」



キースが初めて口を開いた。



クリスはキースを睨み、しばらくにらみ合いが続いたが、クリスはもう一度座りなおした。



「これを見るが良い」



ルーファスが言うと、ロイドが文献を開きクリスの膝の上に置く。



クリスは目を見張った。



俺にそっくりだ……。



文献にアルビーン国の国王と王妃の肖像画が載っていた。



この文献はシェルトランド国にはなく、隣国のシャロン姫から借りたものだ。



「他人の空似だ」



似ていることは間違いないのだが、認めたくないクリスはそう言っていた。



「お前の名前はクリスティアナだ どうやら爺さんは略して呼んでいたようだな」



「……」



もうほっといてくれ……。



ひどい頭痛がするし、今まで育ててくれた爺さんが悪い人だと考えたくなかった。



ぶっきらぼうな性格だったが、根は優しい人だった。



< 109 / 210 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop