クリスティアナ
「城の騎士団がきたんじゃよ しかし、帰りに逃げた山賊がいるから気を付けるようにと言っていた ワルテ山に一人で行くのは危険じゃないかね?」



キースが……この山に来たんだ……。



「おや、お前さんは騎士団かね?見事な外套は騎士らが着ていたものに似ている」



「え、はい 友人の騎士に貰いました」



「そうか、ワルテ山に行くのならくれぐれも気を付けてな」



そう言うと民家の方へ帰って行った。




山賊か……。


キースがこの山に来ていたなんてな……。



キースを思い出すと胸が疼くような締め付けられるような感覚に襲われる。



キースに口付けされた唇へと無意識に指が行く。



何も言わずにいなくなって怒っているか?それとも……心配……しているわけないよな。



女好きの奴の事だ。俺なんか女と思われていないし。



いなくなってせいせいしているだろう。



もうすぐ夜になる。



夜に山へ入るのは危険だ。



山賊以上に凶暴な動物がいるのだ。



やつらは夜行性でいつも飢えていた。


クリスは小川近くで火を焚き、一晩明かすことに決めた。




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