クリスティアナ
その夜、クリスは昔の夢を見ていた。


小さい頃の自分がいた。



「おじい様、どうして髪を見せちゃいけないの?」



小さい頃は、食料を買いに麓までくるのにクリスも一緒に連れて行った。



1人で置いていくには危険だったからだ。



「その髪の色を見ると人々が驚くからだ 魔物だと思われたくないだろう?」



そう言って茶色い綿の外套を着せフォードをかぶせてくれる。



「はい それは嫌です 私は人間ですもの」



笑顔を浮かべたクリスは祖父だと思っていた男に抱きついた。



「クリスティアナ」



名前を呼ぶ男は悲しそうだった。




そこでクリスはハッと目が覚めた。



目が覚めた今でも夢ははっきり覚えていた。



爺さんは「クリスティアナ」と呼んでいた……。



そうだ、どうして忘れていたんだろう……だんだんと短い呼び名になっていつの間にか記憶からなくなっていた……。



俺は陛下の言うとおり、王女なのか……?



そして……爺さんは……家族を殺した盗賊……。




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