水嫌いマーメイド
胸ぐらを捕まれて、プールサイドまで引きずられていった。

「ばい☆」
「プールの底に沈んでらっしゃい☆」

と大笑いしながら、あたしをプールに突き飛ばした。

『!!??』

急に、見えていた世界は90度も変わって、青色の水で滲んだ会場が遠くに見えた。

突き飛ばされて、ぼんやりとした視界は、はっきりして肌色の足が違う所に動いて行った。


………待ちなさいよ。
こんな事して……自分達は悪くないとでも思ってるの…?許されるとでも思ってるの……?


ザバッ、と水が染みて重たい体を水面まで持ち上げた。

「あらァ~?びしょ濡れじゃない?」
「マネージャーなのに、ゴメンねェー」
「夏だから…風邪ひくんじゃなァい~?」
『……………ょ』

あたしの頭の何処かで、はっきりと輪ゴムが切れた音が聴こえた。

『…教育がないってない……?なってないのはどっちよ!!!ムカついたなら、突き飛ばして良いんだ!?あんたの両親拝んで見たいものね!!』


頭に浮かんだ言葉が、滝のように流れ出してきた。

「…は…?」
「なっ……何なの…?!」
『何なのは、こっちのセリフよ!!ドーピング?ふざけんな!!あたし達は、そんなモン使って無いわよ!!!』
「なっ………!!」
『ドーピングを使ってるって言うならDNA鑑定でも、やってみなさい!!』

息切れしながらも、言い放った。あたしのけたたましい声が会場に響き渡った。
それに気付いた各校の生徒がざわざわと騒ぎ始め、視線があたしに集まった。

『やってみなさいよ!!証拠も無いのに言いがかりなんて、良い度胸してるわね!!』
「おい、佐々木落ち着け」

水沢が、タイミングを見計らって止めに入って来てくれた。

「……行こッ」
「……そうね。長居は無用だし」
「でもさ、あんな事言ったし……責任は取らなきゃね?」

ニコッと笑いながら、本部の方に指を指した。そこには、大会の役員と如月、洸仙の両校の顧問が居た。

「此処まで事は大きくなったのは……誰のせい?」
「………」
「………チッ」
「妃泉っ!だいじょーぶっ?!」
『……可耶……』

可耶がタオルを持って駆け寄ってきてくれた。ギュッと、あたしを抱きしめて“怒鳴りすぎ”と笑った。

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