ミルクティー
帰りに職員室へ寄っていたので帰りが遅くなってしまった。


いつもなら何人か歩いているのに…

今日は誰もいない。



「最近は陽が短くなってきたなぁ〜」


空を見上げると、海斗と出会った頃の事を思い出す。

海斗に出会ったのはまだ桜がきれいな頃。

今は少しづつその桜の葉っぱが色づき始めてきている。



「海斗と紅葉…見に行けるかなあ〜?」


周りには誰も居なく1人で声を出して歩いていると後ろから


「雛那ちゃんが次のテストで頑張ったら行こうか?」




海斗!
何でいるの?



「ビックリした?」

「う、うん…」



うわぁ〜…
どうしよう、私の独り言どこから聞かれちゃったかな?


私は恐る恐る尋ねてみた。


「海斗、どこから私の独り言聞いてた?」

「そんなに聞いていないよ。ただ『海斗と紅葉…見に行けるかなあ〜?』って所が聞こえただけ」


ほっ…

よかったぁ〜あまり聞かれてないや…


けど1番恥ずかしい所を聞かれたような…



「次のテスト、頑張ったら俺の実家の近くにある展望台に行こうか?

そこから見える紅葉はキレイなんだよ」



海斗のお家か。
たしか……

“紅茶屋さん”



「行ってみたい」

「じゃあ決まり。

テスト、頑張らなきゃな」

「……うん」



テストか…

その前に『講演会』をなんとかしなきゃ…



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