ミルクティー
「海斗が女の子を連れてきたのは初めてだよ」


「そうなんですか?」


海斗のお父さんが優しく口を開いた。


「高校生の時は彼女がいたみたいだけど…1回も家には連れて来なかったんだよ。
春野さんは海斗の友達って聞いたけど…

そんな感じには見えないね」


「海斗さんとは家が近く、たまに相談にのってもらったりしています…」


「春野さんは海斗が好きですか?」


突然すぎて少し驚いてしまった。


「…………たぶん好きです」



本当はまだ私の中では中途半端な気持ち。



けどこれだけは確かな気持ち。


海斗は私の特別。



「だと思った。
海斗も春野さんを好きだったらいいね」


「はい…」


海斗のお父さんはニコッと笑ってお店の方へ行ってしまった。

ご飯…食べないのかな?



………………



さっきから感じるちょっと痛い視線。


たぶん私をさっきから見ているのは海斗のお兄さん。

海斗のお兄さんを見上げて私はニコッと笑った。



パコーン――――…



「兄貴!何、雛那ちゃんを凝視しているんだよ。
そんなに見たら可哀想だろ」


「いってぇー
お玉で叩く事ねぇだろ?

ひでぇ弟だ」



「何とでもどうぞ。
雛那ちゃん、兄貴になにもされなかった?」


「う、うん。大丈夫だよ」



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