神様のシナリオ
移動教室は、カップラーメンが出来上がる時間ぐらい早かった。
そして今日の授業もあっという間に終わって、放課後。
「ニノミン、今日は美原さんのお宅に行こうと思うんだけれど、あなたは来る?」
「行かない」
「……そう、分かったわ。自分の身は、自分で守りなさいね」
あれ、いつもならここで、「これは神様の命令よ、来なさい。さもなくば、あなたの家のトイレットペーパーを1つ残らず芯から取るわよ?」とか言いかねないのに。
「今日はひねくれたこと言わないんだね」
僕がこう言うと、イッチーは振り向いて笑顔で僕に答えるわけもなく、真剣な面持ちで言った。
「鬼族は、一歩間違えるととても危険なのよ」
そうなのか……、なら、ならば僕は、そんな危険からイッチーを守るためについていこうじゃないか。
「僕もついていくよ」
「……とても、危険なのよ?」
「うん、分かってる」
「分かったわ。行きましょう」
……過程は気にしちゃ駄目だ、結論は同じなんだから。
過程を気にしなくちゃいけないのは、数学の証明だけだよ。