神様のシナリオ
ところで、僕がイッチーについていこうとした理由だけど……、自分で自分の身を守れる自信がなかったからね。
それに、イッチーが僕のそばを離れるのは寂しいだろうしね。
べ、別に、僕は寂しくないんだからね!っとツンデレってみた。
萌えって言ってくれた君、僕は嬉しくないから。
いや、これ本当。
……閑話休題。
ピーンポ(以下略)と、家のチャイムが鼓膜に届く。
鬼の家っていうから魔界とかに行くのかと思ったけど、案外普通の家だ。
……そもそも、魔界とかあるのか?
「はぁい。ちょっと待ってくださいな」
インターホンから優しそうな女の人の声が聞こえる。
「イッチー、鬼ってそんなに危険な生き物なの?」
「声に騙されちゃ駄目よ。とって食われるかもしれない」
やっぱり、鬼っていうのはイッチーが言うみたいに危険なのかな。
「お待たせしました。わたし、美原家の使用人をやらせていただいております、佐鬼と申します」
佐鬼さんは、ふっくらした普通の家政婦みたいな感じだった。
ただ異様なのは、頭から角が生えているということ。