神様のシナリオ
「わらわは不安だったのじゃ。あの娘は昔から、恥ずかしがりやでのう。遊び相手といえば、姉妹だけじゃった」
流鬼さんも角がニョキッとはえている。
「しかし、お主らはこうして、お友達として会いに来てくれた。これは誠に嬉しいことじゃ」
流鬼さんがペロリと舌なめずりをする。
「今日はぜひ、この美原家でゆっくりしていくがよい。なんなら、泊まっていってくれても構わんぞ」
お泊まりか、しばらくしてないな。
小学校の修学旅行以来だ。
「……おあいにくですが、奥様。私と二ノ宮くんはこのあと用事があるので。これで失礼します」
「おぉ、そうか。それは引き留めてすまなかったな」
お泊まりだって聞いて、すごく楽しみにしてたのに。ぷんすか。
……まあ、本当じゃないんだけどね。
僕とイッチーは、佐鬼さんに見送られながら、帰路についた。
「何か分かったの?イッチー」
「あの女……、流鬼とかいう女、私たちのほうを見て舌なめずりしたわ」
そういや、そんなこともしてたかなぁ。
「それに、それに……っ」
なんだ、まだ怯えてるのかと勝手に解釈して、イッチーの唇に「ぷぎゃ」
脇腹に強烈な痛みが走る。
手で抑えながら、そして怯えながら見てみると、脇腹と手に血がベットリとついていることはなく、ただシワだらけの制服が見えた。
「……それに、私のファーストキスを奪ったわ」
千年以上も生きて、唇と唇をくっつけたこともなかったのか。