小さな恋【完結】
『……だったら、俺のこと好きになれよ』


『え……?』


『……――ずっと俺の傍にいろよ。俺のものになれよ!!』


大知のその声は心の叫びのようで。


あたしが黙り込むと、大知はハァと大きな溜息をついた。



『……なんてな。さっきのは冗談』


『大知……あのさ……』


『もう、俺のことなんて考えなくていいから。お前、あの先輩が好きなんだろ?』


あの先輩とは一哉先輩のことだろう。


大知と唯ちゃんのプレゼントを買いに行った日、先輩と顔を合わせた。


あたしは肯定も否定もせずに黙り込む。


一哉先輩が好きだと胸を張ってそう言える自信がない。


自分の気持ちがよくわからないから。
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