小さな恋【完結】
「唯も真依子ちゃんのことが大好きみたいでね。いつも本当にありがとう」


「いえ、そんな!あたし何にもしてませんから!」


テーブルにおでこがくっつきそうなほどに頭を下げたお父さんに苦笑する。



すると、お父さんはさっきとは打って変わって何故か真剣な表情を浮かべた。


「僕が不甲斐ないばかりに、妻が出ていってから大知と唯には我慢させてばかりでね。大知には大好きなサッカーを諦めさせて、唯には母親のぬくもりを奪った」


お父さんは苦しそうにそう言うと、あたしの目を真っ直ぐ見つめた。


その瞳に浮かぶ揺るぎない決意。


あたしはその瞳から目が反らせなかった。
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