ネコ専務シリーズ
ライブが始まった。会場中にネコシンガ
ーの歌声が響き渡る。

低い声のときには激しい、野太い、ほと
んどガラガラ声でありながら、高い声に
なると、澄み切った湖に差す清らかな
光のような、クリスタルを思わせる美声
に変わる。

小宮ねねは、10代のころは暴走族の
リーダーをしていたあの娘が、今では
武道館でライブをするようになったかと、
目を潤ませる。

ネコ画伯の四男の雷(いかづち)は、
アーティスト志望なので、年上のいとこ
であるネコシンガーの舞台上の勇姿を、
あこがれをもって見ていた。

ネコシンガーは中肉中背だが、足がスラ
リと白く長い。
特に強調して露出してはいないが、彼女
は全体的には白色だが上半身に灰色の
部分が多いので、自然、白い足が目立つ
のである。

目は情熱に輝くブルー。四つ足の白猫は
青い目の場合耳が聞こえないことが多い
が、二本足のネコはそういうことはない。

3曲目に大ヒット曲「Don`t eat my
cat!」が入ると、観客の興奮は一層
高まった。
続いて4曲目「Tokyo the great」
(偉大なる東京)、
5曲目「The galaxybom」(銀河爆弾)。
そのたびに大歓声が上がる。

「すっかり大スターだなあ」

ネコ専務の一族は大喜びである。
ファントム・キャットの初の武道館ライ
ブは大成功に終わった。
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