ネコ専務シリーズ
後日、調子に乗ったネコ専務は、ぜひ
これを使ってくれと、ネコシンガーの
ところに自作の歌詞をもって行ったの
だが、このとき、ネコ専務には作詞の
才能が乏しいことが明らかになった。

「私の猫は眠らない」と題されたこの
歌詞は、タイトルはなかなか良いが、
肝心の歌詞の内容は、何やら思いつくが
ままに言葉を並べただけの、でたらめな
代物にすぎなかったからである。

ネコシンガーはそれを一読しただけで、

「おじさん、これじゃ使えないよ、
 悪いけど」

とあっさりネコ専務に返却した。

ネコ専務はがっかりして帰っていったが、
数年後。ネコシンガーの超多忙によって
休眠状態に陥っていた、ネコシンガー・
ネコ専務・ネコ博士・ネコ住職の4人で
組んでいるもうひとつのバンド「ネコズ」
が、久しぶりに一曲だけ新曲を作って
シングルで出したとき、その曲名は
「私の猫は眠らない」であった。

とはいえ、歌詞はネコシンガーが丸々
書き換えていて、ネコ専務のアイデアの
うち、残っていたのは曲名だけという
有り様であったという。


             おしまい
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