ネコ専務シリーズ
ネコ専務とネコ
ネコ専務は家で猫を一匹飼っている。
「シロ」と名づけた白い猫で、ネコ専務
によくなついているが、べったりでは
なく、気分を損なうとぷいっとどこかへ
行ってしまって、なかなか機嫌を直して
くれない、気位の高い女王のようなメス
猫なのだった。

ある夜、ネコ専務は珍しく酔っ払って
帰ってきた。実はネコ専務がこれまで
進めてきたあるプロジェクトが大失敗に
終わってしまい、会社は30兆円の損失
をこうむってしまった。

それでネコ専務はやけになって、酒を
がぶがぶ飲んで千鳥足で帰宅したのだ。
ネコ専務にもそんなときがあるのである。

ネコ専務は玄関に倒れこみ、シロを呼ん
だ。
そして、

「おーい、シロよー、私はダメなネコ
 なのかなー」

とか、いつまでもうにゃうにゃ言って
いるので、はじめはネコ専務の手をペロ
ペロなめていたシロも、つきあってらん
ないわとばかりに、どこかへ行ってしま
った。

「ああ、シロにまで見捨てられた・・」

とネコ専務はいじけたが、ふと、
「そうだ、シロにエサをやらなきゃ」
と気づいた。
そしてその夜はシロにエサをやり、
ちょっと遊んでから、シロに添い寝して
もらって眠ったのだった。

次の日の朝は、ネコ専務はいつもどおり
のネコ専務であった。
ネコ専務はシロにエサをやり、ちょっと
遊んでから、元気に出社していったので
あった。

             おしまい


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