ネコ専務シリーズ
「赤か・・?青か・・?」

ネコ専務は迷ったあげく、その部屋に
いた全員から多数決を取ることにした。
こんな選択、一人でできるものではない。

しかし赤に手を挙げた人と青に手を挙げ
た人は半分半分で、最後はやはりネコ
専務が決めなくてはならなくなった。

(赤・・?青・・?)

ネコ専務は全身汗だらけになって、必死
に考えたが、これは考えて分かるもの
ではない。

ネコ専務の人生には、これまで何度も
ピンチがあったが、今回のピンチはその
中でも明らかに最大のものである。

ネコ専務は自分の命ももちろん惜しかっ
たが、自分がどちらかのコードを選ぶ
ことで数万人の命が助かり、選び損なえ
ば数万人の命が失われると思うと、
赤にするか青にするか、なかなか決心が
つかなかった。

しかしそうしているうちに、カウントは
あと1分を切った。ネコ専務はついに、

「ええい、赤だ!」

と叫んで、ハサミで「赤のコード」を
プチンと切った。

その瞬間、東京の一角は核の炎に焼き
尽くされた。
本社ビルは一瞬で倒壊し、ネコ専務の
体は、他の何万人ものネコと同様に、
考える間もなく消滅し、あとには何も
残らなかった・・・



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