ネコ専務シリーズ
彼らが語るところによると、「生命の
波動」という新興宗教は、こういうもの
であった。

教祖は「トーマス横島」という30代の
男で、手で触れるだけで人の病気を治し
たり、目を見るだけで人の心を読んだり、
未来を予言したりできる。

教えとしては、宇宙の生命波動に心の
波長を合わせることによって、望みが
何でも叶う「アルティメット・パワー」
を得ることができ、成功をつかむことが
できればいいなあ、というものだ。

ネコ専務とネコガールは、顔を見合わせ、
同時に

「怪しい」

と呟いたが、20代前半であろう黒ネコ
の美青年は、

「この近くに事務所がありますので、
 そこでお話ししませんか?成功への
 第一歩ですよ」

と自信満々で言う。
< 317 / 439 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop