ネコ専務シリーズ
ネ子、5歳(迷子のネ子ちゃん)
九州の大分市から、両親と兄と一緒に
東京に遊びに来ていた5歳の少女・ネ子
ちゃんは、みんなでショッピングに来た
新宿で、うっかり迷子になってしまった。

わんわん泣きながら靖国通りをとぼとぼ
歩いているネ子ちゃんだったが、すれ
違う人々はそれをちらっと見るばかりで
さっさと通り過ぎてしまい、だれも助け
てくれない。

そこに前方から歩いてきたのは、ネコ
青年。

高級そうな青いスーツをパリッと着こな
した、見るからにエリートビジネスマン
のこの青年は、左手にしているブルガリ
の腕時計に目をやると、

「やべー、遅れそうだ」

などと呟いている。


何やら急ぎの用のありそうなこの男、
全身が見事に真っ白で、スマートな体型、
きりっと引き締まった顔つきをした、
なかなかハンサムな美猫であったのだが、

彼もやはり、パパー、ママー、と親を
呼びながら歩いている子猫にちらっと
目をやるだけで、横をサッと通り過ぎて
しまった。
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