ネコ専務シリーズ
お家を聞いても分からず、名前も聞いて
おらず、自分も名前を言っていないネ子
ちゃんを交番のお巡りさんに引き渡し、

「もうすぐパパとママがやって来るから
 大丈夫だよ、じゃあね」

とバイバイ手を振ってあっさり別れた
ネコ青年。

「あーあ、もうカンペキ遅刻だよ。でも
 良いことしたなあ」

とにっこり微笑んだこの若者だが、これ
はもちろん、若き日のネコ専務のことで
あって、

この13年後、ネコ専務とネ子は東京・
港区の大企業で、上司と新入社員として
奇跡的な再会を果たしたのは、みなさん
ご存知の通り。

お互いに好ましく思い、一緒にテニスを
楽しんだりもしたこの2人、しかし結局、
それが「再会」であったとは、両者とも
最後まで気がつかなかったのであった。

             おしまい
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