ネコ専務シリーズ
ネコシンガーは、他のバンドもかけもち
でやっている、一応プロの歌手だし、
他の3人も練習時間がたっぷり取れる
身分なので、ネコズの演奏のレベルは
ぐんぐん上達した。

そしていよいよライブハウスで演奏し
始めたのだが、何がウケたのか、ネコズ
は初めから、かなりの人気を得たの
だった!

もともとはアマチュアで気楽にやろうと
思って始めたバンド活動だったが、大手
プロダクションから声がかかり、ファー
ストアルバム「ブッダは白猫だった!」
を発表、

続いてセカンドアルバム「ほっとけ」を
発表した。

しかしそれでかなりのお金が入ってくる
ようになると、その分け前のことでトラ
ブルが発生した。

みんな初めは、お金は4人で4等分すれ
ばいいと思っていたのだが、ネコシンガ
ーはだんだん、作曲料としてみんなより
多くもらいたいと思うようになった。

ネコシンガーはメンバーの中で一番若く、
お金もないからである。

ネコ住職も、自分の寺の財政が厳しい
ため、作詞料の分を多くもらいたいと
いうのが本音である。

ネコ博士は次にやりたい実験に大金が
かかるため、これまで自分がノーベル賞
学者としての知名度を活かしてバンドの
宣伝をがんばった分を、多くもらいたい
と思っている。

それで少し口論になりかけたのだが、
ネコ専務はそれを一喝した!
ネコ専務は、こう言ってみんなをいさ
めた。

「ネコ住職よ、仮にも名僧の君が、そん
 なことで口論してはいけないよ。
 
 ネコシンガーも、言ってることは分か
 るが、そんなケンカは楽しくないよ。
 私の分を3等分しなさい。私はバンド
 を楽しみたいだけだからね」

こうしてネコズの分裂は回避された。
そして3人は、自分たちはネコ専務には
まだまだ及ばないと思い知ったので
あった。

             おしまい






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