ネコ専務シリーズ
三毛猫の謎
ふつう、四つ足の三毛猫には、メスしか
いない。遺伝学的に、三毛猫にオスは
生まれにくく、たまに生まれてもすぐに
死ぬし、仮に生き延びても子供は作れ
ないのだ。

しかし、二本足のネコ(二ホンネコ)に
は、ふつうに三毛猫の男性が生まれる。
実際、ネコ専務の友人の詩人・加藤風堂
や、ネコ博士の小説「ネコ専務シリーズ」
の挿絵を時々担当している、若手のイラ
ストレーター・みけ丸君などは、三毛猫
の男性である。

この謎を気にするネコは、これまでほと
んどいなかったのだが、「ネコ専務シリ
ーズ」の次回作「外伝・ネコ画伯」の
打ち合わせの後、みけ丸君と雑談して
いたネコ博士は、みけ丸君からその話を
聞いて、よーし、私が調べてみるか、と
思い立った。


その後、小説の執筆の方は放ったらかし
にして、三毛猫の謎について調べ始めた
ネコ博士は、はじめは
「四つ足の三毛猫と、二本足の三毛猫の
 関係」
について調べていたのだが、次第に関心

「四つ足のネコが、二本足のネコに進化
 した過程」
へと移っていった。

ネコ博士は、それを徹底的に調べ上げた
末、ついに1冊の分厚い、学術的な本を
書き上げてしまった。

「ネコからネコへ」と題されたこの本は、
難しすぎて一般にはヒットしなかったが、
学問的に非常に重要な、斬新な視点が
盛り込まれていると評価されて、
「第20回ケダラーク科学賞」を受賞
した。

そのめでたい受賞記念パーティの席上で
のことである。
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