スゴロク!
「例の件って、キャバクラのやつですか?」
「そーそー!頼むぜマイガール!」
例の件っていうのは、私がキャバクラに潜入して、常連の政治家や芸能人から記事になりそうな情報を聞き出してくるって計画。
「そのことなら前にもきっぱりとお断りしたハズです!いくら記事の為だからって、お酒が入ったエロ親父の相手なんかしたくありませんよ!」
目の前のセクハラ親父にも手を焼いてるのに…。
「…そうか。じゃあマイガール、来月の給料だが、残念だったなぁ…」
「えぇーッ!?そんなのずるいですよ!」
「んじゃあ他に記事が用意できるのか?お前の企画が没になっちまったから、優しい俺が代わりのネタを用意してやったんじゃねぇか」
私の企画、美味しいスイーツのお店や可愛い雑貨のお店の特集…没にしたのは編集長なのに…。
「鬼ッ!悪魔ッ!」
「はっはっはっ!何とでも言うがいいッ!だがこの企画をやらん限り給料は出んと思えよ、マイガール?」
「…くぅ…わかりました…やれば、やればいいんでしょ!」
私がそう言うと編集長は勝ち誇った顔で、更なる鬼っぷりを発揮した。
「やっぱり俺が見込んだ女だぜ、マイガール。もう潜入する店は決めてあるッ!今日からお前の源氏名は"ユイ"ちゃんだ!さぁさぁ、すげぇネタを期待してるぜッ!?」
「き、今日からですかッ!?」
編集長は是が非でも私にキャバクラ嬢をさせるつもりだったみたいで、もうお店の店長さんと話をつけてあったみたい。
私は腹を立てるだけ損だと思い直して、諦めた。
「あ、それからな、ユイちゃんは18歳ってことになってるからな。ボロ出すんじゃねぇぞ、マイガール」
「はあぁーッ!?いくら若い方が良いからって未成年は…」
「大丈夫だ。実年齢18歳で、店的には20歳ってことにしてる設定だからな。よくあるこった。でも実際お前23だっけ?まぁ頑張れ」
「編集長、深海さんは24歳で…んぐ…」
槙原さんの口を押さえながら私は、無意味と知りつつ怒りを込めて強がりを言うしか無かった。
「編集長!この企画、すごいスクープを抜いてきますから、お給料3倍用意して待ってて下さい!」

こうして私は、不自然に露出度の高い服を着て、キモいおじさん達のお酒の相手をすることになった…。
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