スゴロク!

3マス目

「ロ、ロバートさん!」
薬と水を持って私の前に居る男性は、幽霊社員のロバートさん。
まじめで良い人なんだけど、まじめ過ぎるというか…。
記事の締切りよりも事件の真相究明が優先で、まるで記者というよりも探偵みたいな人。
だから編集長も
「記事ができたら持ってこい。お前さんにゃ締切りは無ぇ」
なんて言ってた。
そのロバートさんが何でここに?
もしかして、この部屋ってロバートさんの?
まぁ考えてもしょうがない!
とにかく言わなきゃいけないことがある!
「ロバートさん、私…あの…あり…」
「礼はいい」
「…ます!」
「何?ます?」
ロバートさんは一瞬キョトン顔だったけど、すぐに理解してくれたみたいで、笑いながら答えてくれた。
「あります、だな。お前らしい」
私はロバートさんの最初の一言『食欲は無いだろ?』に返事をしたんだけど、お礼が先だよね…恥ずかしい…。「サラダとコーヒーぐらいしか用意できんが、少し待ってくれ」
キッチンカウンター越しに手際よく準備する音が聞こえる。
ロバートさんってイメージ通りの人だなぁ。よく見たら部屋はきちんと片付いてるし、掃除も行き届いてる。
(はぁ~…私の部屋とは大違いだな…)
とか思っていたら、サラダボウルとマグカップを持ったロバートさんが苦笑いで言った。
「さすがマイガールだな。食わなきゃ仕事もできんからな。ダイエットしなきゃならんほど重くも無かったし、食える時に食うのが俺らの基本だ」
そーそー、食べれるときに食べ…

重くなかったッ!?

「あ、あの!私もしかして、ここまで担いで運ばれちゃったんですか?」
「いや?ふらふらだったが自分で歩いてたぞ。」
「あの、今『重くも無かった』とかなんとか…」
「ああ、部屋に着くなり玄関で寝始めてな。着替えさせてベッドに運ぶときに抱えたんだが」
「あ、そーだったんですかぁ。私てっきりロバートさんに…
…え?
着替え…?」
今着てる服は確かに私の服。
着替え…?
…あッ!
「お前、店の服を着てただろ?さすがにそのまま寝て、シワだらけのまま返すワケにはいかないだろうから、お前の服を店に取りに行って着替えさせといた」
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