カベの向こうの女の子

「とりあえず座れば?」



ロングヘアーに不信感いっぱいの視線をおくって、少しの間躊躇ったが、ロングヘアーが促すから仕方なく座った



隣に座ると、ロングヘアーの髪が風に靡いて微かにいい匂いがする



ロングヘアーは髪を耳にかけながら、俺を見た



「あなた、最低ね」



「はぁ?最低なのはそっちだろ。やり方が汚ねぇんだよ」



俺が顔をしかめたのと同様に、ロングヘアーも顔をしかめる



「嘘じゃないんだけど。好きだから好きって、言ってるの」




ロングヘアーがあまりにはっきり言うから、俺は少し狼狽してしまった



まるでその俺の隙を、見抜いたみたいにロングヘアーは追い討ちをかける




「この前も言ったけど、今まで色々邪魔して悪かったとは思ってる。まぁどのみち邪魔することにはなると思うけど…。嘘じゃないの。あたしプライド高いから、好きじゃない人に好きなんて言わないし。ただ邪魔したいなら、わざわざ氷枕なんて作らなかった。嘘なら、まぁせいぜい春菜に協力してねって言うだけで、あなたに好きなんて言わない」



「…」


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