初恋
寝ていたのではないかと思いたかったけれど 保健室に入った瞬間に目が合ったから、それは違った



あの後飲んだココアは私を苦しめるだけだった



大分前に先輩が自分の話をしていた時、だされたのがココアだったから



あれから好きになったけど、今日のせいでココアを見るのも嫌になってしまった



チャイムが鳴ってからも、先輩が動く様子は無くて、ただただ外を見ているだけだった



ネックレスの箱を置いて行こうかと思ったけれど、繋がりを捨てる勇気なんて私にはなかった




教室へ戻る廊下で ばいばい先輩がいた



「おう、お疲れ(笑)」


片手を上げながらそう言う先輩は、少し私を元気にさせた



「次の授業、花優愛ちゃん体調悪いから出れませんって勝手に伝えといたから。学活なんて嫌でしょ?」



先輩は笑わずに、そう言った



「ありがとうございます」




先輩に連れられて中庭に来た



ベンチに腰掛けると、先輩はタバコを取り出して、火をつけかけてやめた


「やめようと思ってるんだけどね…癖でさ」



笑いながらポケットに戻した



櫻木先輩はタバコ吸わなかったなぁ



真正面にある何かの記念の石を眺めていたら、いきなり抱き付かれた



「俺の話、聞いてる?」
< 196 / 238 >

この作品をシェア

pagetop