初恋
「…ねぇ、柊城のこと?最近よくぼーっとしてるけど…」


抱き付かれているせいで先輩の息が首にかかる



ばいばい先輩は丁度胸の上のあたりに抱き付いているから私は身動きがとれなくて凄く窮屈だった



「少し疲れただけですよ。最近寝不足で(笑)」



えへへ、という感じで笑ったら、先輩は離れた



やっと呼吸がしっかり出来る! と思って大きく息を吸った



冷たい空気が体に入るのが分かった




「しっかり寝なきゃだめだよ。…ご飯も食べてないみたいだし」



私の右手を握って言った



「最近は少し食べてるんですよ。だから、大丈夫だと思います。もしも倒れかけても、ばいばい先輩がいますから(笑)」



食べてるだなんて大きな嘘だった



最後に何かを食べたのは、確か櫻木先輩のお家に行った時



元旦かな



二週間弱程、飲み物だけで生きていた



不思議なことにお腹は減らなかった



クラスの事を考えると、お腹はいっぱいになった


そんな追い込みもあるからか、食べてなくても勉強は出来て



倒れるなんて事したら、余計に何か言われちゃう


常に気を張っていないといけなかった
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