初恋
「さっきはどうしたの?いきなりだったけど…もしかして嫌いになった?」




眉毛を少し寄せて思い悩んだような顔をした





「今更ですけど、私男の人苦手なんです」




朝に考えていた事を話すと、先輩は深く頷きながら聞いてくれた





「その割には別の男とキスしたり俺に抱きついたりするんだ」





ほとんど人がいなくなった道で、先輩がいつもより低い声で言った





冷たく吐き捨てたように言ったから、この人は先輩じゃないんじゃないかと疑ってみたりしたけど、どう見ても先輩だ




何、最後の最後でこういう感じなの?



やっぱり今までのはドッキリ? 




やっぱり今までストレス抱えてたんだろうか




数秒の間で様々な言葉が頭をよぎった





「え、あ、えっと」




思うように言葉が出てこない




言いたいことは何だ





どうしよう、どうしよう、どうしよう、どうしよう






「本気にするなよ。俺がちょっと寂しかったから意地悪言ってみただけ!」





ヘラヘラと笑う先輩を見ると、真顔になった






「花優愛ちゃんは泣き虫ですねぇー(笑)」
< 230 / 238 >

この作品をシェア

pagetop