初恋
公園があったので、入ってみた




背の高い時計を見上げると、私は悲しくなった




いつも先輩は、家までは歩きで40分くらいだと言っていたのに、今日は1時間以上経っている







この道、近道じゃなくて、先輩が通りたかったんだ






言ってくれれば頷くのに、言いにくかったのかな






先輩はブランコをこぎ始めた





どこを見ているわけでもなく、ゆっくり揺れていた





近くにあったベンチに座った






小さい頃、遊んだのかな





綺麗とは言えない公園だった





けれど、スコップやバケツ、ボールが落ちていたから誰か来ているのだろう







周りを見渡すと、滑り台やシーソー、バネで揺れる遊具、鉄棒、ジャングルジム等があった






どれもペンキが剥げかけている





少し強い風が吹いたとき、先輩がブランコから降りた







手で目の辺りを撫でてからこちらに歩いてきた





「ごめんね。行こうか」





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