初恋
ご飯も終わって先輩の部屋に来た



机にはたくさんの教材が積まれていた



ノートや教科書も綺麗に端に寄せてある




「受験が近いから部屋汚いけど、ごめんね」



先輩は申し訳なさそうに苦笑いしながら椅子に座った




向かい合って座って先輩の顔を見ると、疲れた顔をしていた




受験勉強で疲れてるのに、そんな素振りは全然見せなくて




私が気付かなきゃいけなかったんだ




朝から面倒だっただろうな




なのに怒らずに穏やかで




もしかしたら、帰り道の涙は色んな事を思い詰めてということなのかも




「どうした?」





頬杖をつきながらこちらを見ている




初めて見た頃とはどこか違う




「疲れが顔に出てるのが気になった?」




半開きの目に光は差し込んでいなかった







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