初恋
「…ピアスも全部外して、髪も茶髪から黒にして。ネイルだって落としたし、入学式以来着てなかった制服も、一番上までボタン留めて。家まで行ったよ。……『なんでうちの子なんですか』って泣きながら何度も聞かれたよ。『ごめんなさい』って言うしかなくてさ。…その子と2人で話したんだけど、『もう気にしてないよ。地味な僕が悪い。大事(おおごと)にしてごめん』そう言われたよ。…同級生なのに、この違いはなんだろうって。何度も何度も謝ったよ。…帰り際に気付いたんだけど、リスカしてた。視線に気付いたその子は、苦笑いで『見る?』とか言ってさ。俺は頷いて。…異常な位の数だったよ。傷ついてない所の方が少なくて…なんか、傷で出来た腕みたいになってた。それからしばらくして、学校に来てさ。俺、隣りのクラスだし、見に行ってさ。…クラスのみんなはその子を見て見ぬ振りしてたよ。俺が喋りかけたら、みんなはびっくりしてたけど、その子は喜んでくれて。でもさ…」










< 74 / 238 >

この作品をシェア

pagetop