初恋
「じいちゃんも、凄い勢いで食べる俺を少しだけ笑って、『人を大切にしなさい』って言ってた。泣きながら大きく頷いたよ。ぐちゃぐちゃになりながら食べてたなぁ。……中2になって多少は落ち着いたよ。まぁ不良っていうのは変わらないけど。…学校で初めて彼女が出来てさ。同級生で、向こう側から告ってくれて。嬉しかったよ、普通に。…毎日一緒に下校したし、プリクラ撮ったりしたし。…で、毎日が楽しかったよ。でもさ、聞いちゃったんだ。『不良って単純だから直ぐに落とせるんだよね(笑)…遊びなのにさ、櫻木まじでウチの事好きっぽい(笑)なんかウケる』って。かなり落ち込んだよ。苛つきもあったし。話しようかと思ったけど、馬鹿みたいじゃん?なんか。だから無視し続けてさぁ。話しかけられても、メールも電話も。『うぜぇから』みんながいる前でそう言ったら、泣き出してさ。『最初は遊びだったけど、今は本気』とか言うんだよ?信じらんねーみたいな。『★ちゃん可愛いんだから、俺みたいなキモい奴と一緒にいたらダメだよ』って言ったら、また泣き出すし。面倒になって、その場から離れたよ。みんなは静かだったなぁ。…軽く人間不振になってさ、じいちゃん、ばあちゃんに相談したよ。」



先輩はまたココアを飲んだ



少し冷めかけている



私も口を付けた




甘かった




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