初恋
「…んっと、…あ、いじめてた子と何日か一緒にいたんだ。でもさ、いきなり休み始めたんだ。…クラスの子からの悪口がヒドかったらしい。普通俺らを批判するでしょ?なのにどうなってるのか、その子が言われちゃって。リスカもバレて大声で笑われてたらしい。隣りのクラスなのに気付けなくてさ。…学校で最後に聞いた言葉は、『櫻木くんって、いい人だね』って。…それから入院したんだ。今でも週一で面会してるけど。…入院してから向こうのお母さんからばあちゃんに電話があってさ。俺に感謝してるって。優しい人だって…何も助けてないのに、あの子は俺を褒めたりするんだよ。…それからやっとばあちゃんは俺のご飯を作ってくれたよ。電話が無かったらどうしたんだろうね(笑)…美味しかったよ。食える訳ないのに、『いっぱい食べなきゃ大きくなれないよ!』って言ってさ。俺の好きな海老フライにカレーにハンバーグに、オムライス…子供でしょ?(笑)…まだまだ作ってくれてたけど、思い出せないわ。」
一端、ココアに口を付けて、また話し始めた
チョコレートの匂いをまき散らしていた
一端、ココアに口を付けて、また話し始めた
チョコレートの匂いをまき散らしていた