初恋
「そのコート、可愛いね」



下校中先輩に言われた。みんなは 原色ピンクや青等の無地(いわゆるサーフ系)を着ているので、白は珍しく見えたみたい


ボタンもゴールドのハートで、ポケットもハート形



顔に似合わない可愛らしいPコートだった



「ありがとうございます。先輩のも、素敵です」


先輩は黒地に袖の先に星のスタッズがついた、シンプルなコートだった



「えへへー(笑)ありがとう」




そう先輩が言った後、私は息を吐いた



真っ白だった



ふと指先を見た。そういえば、手袋を買っていない



手が冷える



「んもー(笑)こんな寒いのに手袋無いなんて。しょうがないなぁ」



先輩は私の手を握った



黒の手袋だった



「先輩の手、腐りますよ?」



振り払おうとしたら、強く握られた



「またそういう事言って」


< 93 / 238 >

この作品をシェア

pagetop