初恋
家まで送ってくれた



離された手が少し寂しかった




聞けば先輩は真逆の方向が自宅



「少しゆっくりしていきませんか?」



母の車がなかったから、聞けた



先輩は腕時計をチラリと見て、



「…また今度、ゆっくりこようかな。場所覚えたし。」



悲しそうに笑った



何か予定があるのだろう



「…そうですか。……メール、しますね」



笑顔を作れば、先輩は小さく頷いて歩き始めた




1度振り返って、小さく手を振られた



返せば、また歩き始めた



見えなくなるまで、先輩はもう、振り向かなかった
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