天狗様は俺様です!
「落ち着いて。僕がちょっと早く動いてカイから君を奪い取っただけだから」

 のほほんとした笑顔。



 いや、ちょっと早くっていうレベルじゃない気がするよ?

 それをのほほん笑顔で普通のことのように言うなんて。


 この人、何気にお茶目さん?

 それともマイペース?



 少なくとも、今目の前にいるナギからは話に聞いたような恐ろしさは微塵も感じられなかった。

 寧ろ人懐っこい感じがする。

 その様子を見ていたカイは、見かねたように叫んだ。


「っおい! いきなり出てきて人の女取るんじゃねぇよ! 返せ! それに実花!」

「へ? はい!?」

「何大人しくしてんだ! 少しは暴れろ!」

「ええ!? えっと、ごめん」


 叱られて、反射的に謝る。


 でも何で私が謝ってるのよ!?

 大体カイにだって非はあるんじゃないの!?


「でもカイだって私をちゃんと掴まえてなかったじゃない!」

 と言うと。




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