*coffret a bijoux*(SS集)
道路の端で黙って
うかがっているオレには
気づくこともなく、少女は
1メートルほど離れた所を
通り過ぎていった。


オレの進行方向とは逆。

繁華街の中心部へと向かう
方向だ。



オレはなんとなく、その
小さな背中が人ゴミに
まぎれて見えなくなるまで
見送った。



そして彼女の姿が完全に
視界から消えると、思い
出したように再び歩き出す。



(エンコーなんて、あの子
には似合わないな……)



やりたくってやってるん
だろうから、大きなお節介
だと思うけど。


_
< 196 / 243 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop