*coffret a bijoux*(SS集)
でも彼女のあの瞳を思い
出すと、なんとなくそう
思えてならなかった。



(エンコーか……)



ふと、あることを思いつく。



さっきあのオヤジが
騒いでる時に、『バレたら
とんでもない不祥事だろうに』
と思った記憶がよみがえって。



「そうか……いいかも
しれないな」



曖昧な笑みを浮かべて、
オレはまっすぐ先に進む。



トオルの作るカクテルでも
飲みながら、愚かな思惑に
考えを巡らせてみるか。



オレはそういう……大人の
仮面を被っただけの、
ダメな人間だから。


_
< 197 / 243 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop