アイ・マイ・上司【完全版】
その声が誰なのか、分かってるクセに・・・
「ったく…、鈴はバカ正直だな」
「っ…、なんで?」
慌てて涙を隠そうと、目をゴシゴシ拭えば。
「まっ、これが狙い?」
アノ日と同じ表情で、フッと一笑するから。
キューっと痛んでいた筈の胸は、一気に高鳴りへと変化を遂げる。
そうして綺麗に磨かれた革靴を、コツコツと鳴らしてやって来る課長。
徐々に近づく距離は、私の心音を忙しないモノへと変えていく…。