アイ・マイ・上司【完全版】


その声が誰なのか、分かってるクセに・・・



「ったく…、鈴はバカ正直だな」


「っ…、なんで?」

慌てて涙を隠そうと、目をゴシゴシ拭えば。



「まっ、これが狙い?」


アノ日と同じ表情で、フッと一笑するから。


キューっと痛んでいた筈の胸は、一気に高鳴りへと変化を遂げる。



そうして綺麗に磨かれた革靴を、コツコツと鳴らしてやって来る課長。


徐々に近づく距離は、私の心音を忙しないモノへと変えていく…。


< 30 / 65 >

この作品をシェア

pagetop