迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*上*




込み上げてくる想いを必死に抑えながら、私はようやく口を開いた。



「コウちゃんは、彼女いるんだよね?」



何が聞きたいんだろう?私は。


自分でもよくわからなかった。


ただ、さっきの…コウちゃんの口から出た“名前”の意味を確かめたいんだと思う。



「え…?うん、いるよ」



突然の質問に一瞬戸惑いつつも、

コウちゃんは照れもせずに平然と答えた。


ズキッと胸が痛んだ。



「ずっとつき合ってるの?」



「うん。中学のときからだから…もう4年、かな?」



「へぇ……」



感心したように頷きつつも、私の笑顔はひきつっていたと思う。


でも、やめられなかった。




< 166 / 243 >

この作品をシェア

pagetop