君だけしか映らない
「コレ…佐伯くんに似合いそう。」



笑美はそう言って一つのピアスを選んだ。



デザインは至ってシンプルで、あまり目立たないものだった。




佐伯悠哉は何も言わずにただ黙って笑美を見ていた。



(あ…………。)



「あっ…やっぱ何でもない!ごめんね…。」



(私ったら何やってんの…)


相手はあの佐伯悠哉なわけで、センスのいい彼が私の選んだものを気に入るわけがない。



「それ…本当にオレに似合うと思ってんの?」



「あ…私が口出しすることじゃなかったよね…ごめん忘れて…。」



そう言って笑美はピアスを元あった場所に戻そうとした。



―――その時。



「待てよ。」



佐伯悠哉がピアスを持った笑美の手を掴んだ。



< 235 / 261 >

この作品をシェア

pagetop