君だけしか映らない


―――




正直、今日は来てくれないと思ってた。



だから駅の広場で荒川を見た時、嬉しくて仕方なかった。




だけど相変わらず荒川はオレの隣で歩くことを嫌がった。


…なんだか距離を取られている気がして切なかった。





「コレ…佐伯くんに似合いそう。」



一緒に行ったアクセサリーショップで荒川がオレにピアスを選んでくれた。



最初、オレの顔をじっと見るもんだからかなり焦った。


あんな風に荒川がオレの顔を見ることなんて今までなかったから…。




荒川がオレの為に、それも「似合う」と言って選んでくれたものが嬉しくないわけないだろう。



オレは自然と荒川に笑顔を向けていた。




本当は、荒川が気に入ったものがあれば何かプレゼントしようと思ったんだけどな…。



荒川は特にアクセサリー類には興味がないみたいだ。



ピアスをレジまで持って行った時、ふとあるものに目が留まった。



(これ……!)



これだったらもしかしたら荒川は喜んでくれるんじゃないか…?



そう思いピアスと一緒に購入した。



< 237 / 261 >

この作品をシェア

pagetop