君だけしか映らない
二人で店を出てから無言で歩く。


すると荒川が口を開いた。


「佐伯くんどこに向かってるの?」


「いや…別に…」



正直店を出てからのことは何も考えてなかった。



「別にって…!こんな無駄にブラブラ歩いてたの?」


…オレはお前と一緒ならこうやって歩くだけでも、十分嬉しいんだけどな。



「荒川はどこか行きたい所はないのか?」



「えっ!私?う〜ん……あっ!」



何かを見つけたのか、荒川はある方向を指差した。



「……本屋?」




――――




「ねぇ、あの人めっちゃかっこよくない?あのファッション雑誌読んでる人!!」

「え?ホント!?…ヤバい!!超かっこいい!!」


「ねぇ…声かけてみる?」



(…………。)



オレは読んでいた雑誌を元の場所に戻し、荒川を探した。


「あ〜行っちゃった…」


後ろの方でさっきの女子たちの残念そうな声がした。



『私ちょっと欲しい本があるから。佐伯くんは適当に立ち読みでもしてて。』



そう言って店に入るなり荒川は目的の本を探す為、一人で行ってしまった。



言われた通り、とりあえずは雑誌でも読んでいたけど…声をかけられるとか、マジで勘弁してほしい。



初対面のヤツにいきなり声をかけられて、「名前は?」「今一人?」…ウゼーにも程がある。



< 238 / 261 >

この作品をシェア

pagetop